レビュー

2020年4月、「アメリカのディーン&デルーカ(DEAN & DELUCA)が経営不振に陥り、破産申請した」というニュースが入ってきた。ディーン&デルーカは、40年以上にわたり人気を博していた、ニューヨーク発の「食のセレクトショップ」だ。

日本でも、「DEAN & DELUCA」と書かれたトートバッグを見たことがある人は多いのではないか。日本のディーン&デルーカはどうなるのか、心配する声も聞かれた。
だが日本のディーン&デルーカを運営する著者・横川正紀氏は、「日本での運営には一切、影響なし」と断言した。著者が代表をつとめる「株式会社ウェルカム」は2016年の時点で、日本国内におけるライセンスの永久使用権を取得していたからだ。しかも日本のディーン&デルーカは、アメリカにはない事業を多数展開するなど独自の発展を遂げ、いまでは全国で50店舗を超えているという。本国以上の成功を収めている秘訣はどこにあるのか。
本書を読み進めていて感じるのは、「多店舗経営でありながら、個人店のようにあり続ける」ことの難しさとおもしろさだ。成長を急ぐあまり、丁寧にやるべき部分をおざなりにしてしまう企業は珍しくない。だが日本のディーン&デルーカは、あくまで「本質」を大事にしながら、ここまでやってきた。
新型コロナウイルスの脅威が蔓延るなか、飲食業界は大変な苦境に立たされている。だが著者はあくまで前向きだ。それは数多くの苦難を乗り越えてきた経験と自信、そしてそれらを支える哲学(フィロソフィー)があるからだろう。
ビジネス書でありながら、「つくり手」としての想いが感じられる一冊だ。

本書の要点

・外側だけ真似ていても、本質を外していたら決してうまくいかない。
・メンバーと目線を合わせるためには、普段どれだけ根っこの話をしているかが重要になってくる。
・ある一定の「ヒューマンスケール」を超えると、お店も組織も味気のないものになってしまう。
・信頼する人の紹介を大切にするべきだ。信頼でつながっているコミュニティは、他人を裏切らない。
・組織も料理と同じで、電子レンジのように急激に温めるとすぐに冷めてしまうが、オーブンのようにじっくり温めるとなかなか熱が冷めないものだ。



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