レビュー
昨今、「事務社員はアウトソーシングで十分」と経理部門を縮小したり、経理社員を置かない組織が増えている。しかし、民間企業での経理・管理業務を経験し、IPO達成や経営再建も手がけてきた著者は、その結果、経理的発想に乏しい、つまりディフェンスに弱い企業が増えたと懸念している。
著者は「経理処理が無駄」という言葉を聞くと非常に違和感があるという。請求書はただの紙やデータではなく、その一つひとつが取引先に対する貢献や感謝の結晶である。自動化・効率化することは必要ではあるが、その意味を忘れないようにすること。そのような積み重ねが、経理的視点から考える黒字化に必須な「経理的マインドセット」につながるのだろう。
本書を読むと、経理・管理業務を担うバックヤード部門を「コスト」と認識することの危うさがよくわかる。特に、「削減しても平時は問題ない」と、まるで危機が起きないかのような前提で会社の体制を変えてしまえば、実際に危機に陥ってから体制を整え直すことは困難だろう。
経理担当でなくとも、「経理的マインドセット」を持っている人は、利益を出すという視点で自分の業務を見直すことができる。そうすれば、会社を危機に強くすることにつながり、またその本人の仕事も評価されやすくなるだろう。経営や経理にかかわる人に留まらず、「経理」という言葉に馴染みがない人にほど、一読していただきたい一冊だ。
本書の要点
・潰れる会社と潰れない会社の違いは、平時からネガティブな事態についても想定しているかどうかだ。
・社員の誰もが経理的なマインドセットを持つことができれば、社内コミュニケーションが円滑になり、社員自身の評価も会社の数字も向上する。
・財務戦略だけで経営は維持できない。「稼ぐ力を社内でつくり、どうやりくりして利益を残していくか」という経理戦略とセットで社員に経理的マインドセットを浸透させていく必要がある。
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