レビュー

利用者数1200万人以上の資産・家計管理サービスをつくり上げた、マネーフォワード創業者の辻庸介氏。だが本書で彼が赤裸々に明かすのは、清々しいまでの失敗談だ。


要約者として特に興味深く読んだのは、「こんなサービスなら喜んでもらえるのではないか、ウケるのではないか」と意気揚々でリリースしたサービスが、大滑りしてしまったというエピソードだ。リリースしたものの、ユーザーが集まらない、まったく使ってもらえない――ユーザーは「きっとこう思うだろう」という安易な決めつけはご法度だと、あらためて突きつけられた。
この失敗からマネーフォワードは、「User Focus」を指針として掲げるようになったという。徹底的にユーザーの声を聴き、ニーズを想像し、仮説を立て、その仮説をもとに機能をリリースし、ユーザーの反応を踏まえてまた改善する――こうしたサイクルを確立したところ、サービスは急成長していった。まさに「失敗は成功の母」といえる。
起業に限らず、何か新しいことに挑戦するならば、失敗は避けられないものだ。失敗するのが怖くて挑戦できず、前に進むのを躊躇してしまうこともあるだろう。だからこそ、辻氏の行動と考え方には、大いに勇気づけられるはずだ。すべての挑戦者に、心から一読をおすすめしたい。

本書の要点

・「多くの人から求められない」というつらい事実から目を背けていては前進できない。失敗経験から学び、早期に軌道修正することで、ユーザーに支持されるプロダクトは生まれる。
・サービスが存在し続けるための条件となるのが「ユーザー」だ。

ユーザーにとっての「must have=なくてはならない」存在にならなければならない。「must have」のサービスをつくるには、徹底してユーザーの声を聴くことが必要になる。
・ユーザーは「きっとこう思うだろう」という安易な決めつけは、サービスづくりにおいては厳禁だ。



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