レビュー
タイトルに「世界一シンプルな」とあるが、あながち誇張ではないだろう。目の前で起きていることを解決すべき「課題」と、放置しておいていい「問題」に切り分ける。
最重要な点は、分解するときの取捨選択の精度だ。例えばあるテーマを4つに分解したら、課題候補として1つに絞り込み、残りの3つは捨てる。その課題候補をさらに分解し、その中からさらに1つ選ぶ。こうしたプロセスを繰り返し、最終的には「現場が持てる荷物の大きさ」にまで課題を絞り込む。具体的な手順をぜひ本文で確認してみてほしい。
本書のもうひとつの特長はケーススタディが豊富かつ多様であることだ。サブスクリプションサービスの継続率の向上、人事課題の解決、取引先の倒産の予測、マッチングサービスにおける評価の適正化など、すぐに自社のビジネスに応用できそうな事例が満載だ。これは、モデルがシンプルであることを端的に表している。シンプルゆえに、多様な業種の多様な問題に応用ができるのである。
解決策を現場に落とすときの「介入」と、全体を通しての「感情の保留」も特徴的だ。人の感情がビジネスに与える影響の大きさを肌で感じている、著者ならではの発想だろう。アドバイスに素直に耳を傾けたい。
本書の要点
・世の中の問題は「①現状把握→②解釈→③介入+④感情の保留」の4ステップでほぼ解決する。
・本質的な課題を特定するために、問題を「分解」する。その方法には①プロセスで分ける、②マトリックスで分ける、の2つしかない。
・特定した課題は、フォーカス(絞り込み)とディープ(深掘り)で解釈を繰り返し、解決策を探っていく。
・解決策を現場に落とす際は、「介入」しているという意識が必要だ。課題解決をはばむ「感情」は、抑えるのではなく「保留」することで対処する。
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