レビュー
京セラ創業者、第二電電(現KDDI)創業者、日本航空再建に辣腕を振るった「平成の経営の神様」――。
2022年8月、稲盛和夫氏の訃報は悲しみとともに大きな衝撃をもって各界を駆け巡った。
「アメーバ経営」や「ど真剣」など、数多くの独創的な言葉や考えを遺した稲盛氏。本書は氏の経営哲学のど真ん中を紹介している。すなわち、経営12カ条は「稲盛氏が経営に携わる中で自ら体得した実践的な経営の原理原則」をまとめた内容とされ、経営に臨む気概が綴られている。
本書は12カ条の理念とそれにまつわるエピソードが順序立てて語られている。条ごとに用意された「要点」は、12カ条に沿って行動できているかセルフチェックできるような問答形式を取っている。要約では各条のエッセンスを伝えつつ、要点を掲載した。
12カ条の要点の問いの答えを考えるとき、ついドキッとしてしまうような、ある意味耳の痛い至言に満ちている。痛いが、痛快の類だ。経営者向けのメッセージでありながら、働く者の心構えや生きるうえでの姿勢を問い、普遍的な真理に近いものを感じる。
版元によると、「会計」の原理原則を説いた『稲盛和夫の実学』、独創的な管理会計手法を詳らかにした『アメーバ経営』に続き、本書の刊行で「“稲盛経営3部作”がついに完結」したという。逝去が報じられて1カ月としないうちに、時あたかも出版されることになった。
本書のまえがきには本書に込められた稲盛氏の思いがしたためられている。8月、まさに亡くなられる直前まで思いを書き連ね、筆を擱いたのだろう。最期のその時まで燦然と輝き続けた巨星の遺志は広く、末永く受け継がれていくだろう。ご冥福をお祈りする。
本書の要点
・経営者はまず、事業の「目的」や「意義」を明確にしなければならない。
・「何としても達成したい」との願望を強く持つことが成功のカギだ。
・経営者はどんな逆境下にあっても、常に明るく前向きであろう。
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