レビュー

スマホを使わない日はない。アマゾンで買い物をして、ツイッターで友人の近況を知り、グーグルマップを活用して移動する。

その快適さや楽しさを味わい、その背後にあるテクノロジーの進化の恩恵を受ける。そしてふとしたときに、自分たちの暮らしや働きがデータとして保存され、「すべて監視されている」ような気がして寒気がする。
「何を買おう」「だれと話そう」「どこへ行こう」。そんな一挙手一投足がデータになり、ビッグテックのAIで処理され、知らず知らずの内にコントロールされている。しかし一度知ってしまった楽しさや快適さからは、もう離れることはできない。みんながLINEで連絡をとっていたら、使わざるを得ない。
そこにプラットフォームの強さとこわさがある。
そこで現れたムーブメントがWeb3(ウェブ3)だ。特定の企業がデータを抱え込むのではなく、ブロックチェーンという台帳を使って分散管理すれば、プラットフォームの支配から逃れられるのではないか? そう期待する声も多い。しかし本当に「支配のない世界」はつくれるのだろうか。それが本書のテーマだ。
NFT・メタバース・自動運転は、お金のやり取り・コミュニケーション・リアル世界の移動という別次元のテクノロジーに思えるが、ビッグテックによる「支配と隷従」から「関係と承認」の未来へと話を進める中ですべてがつながっていく。
テクノロジーの未来は、私たちの将来の生き方と濃密な接点があることがわかるはずだ。

本書の要点

・ビッグテックのサービスはネットワーク効果によって「支配と隷従」を人びとにもたらす。その構造から自由になろうとすれば、テクノロジーがもたらす安楽な暮らしを諦めることになる。
・完全な自由を目指すのではなく、「支配と隷従」のありようを変え、公正に運営される「関係と承認」のシステムを構築すべきだ。
・ウェブ3は「関係と承認のテクノロジー」である。メタバースや自動運転といった技術は、コミュニケーションと居場所を拡張し、だれもが「参加」できる新たな社会関係を生み出す。



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