レビュー

好きな仕事をしながら、老後も安心して暮らせるだけの資産がある。そんな状態になれるのは、本業で大成功した人や裕福な家に生まれた人だけではないかと思うかもしれない。

ところが、本書の著者であるお笑いコンビ「パックンマックン」でおなじみのパトリック・ハーランさんは、そのいずれにも当てはまらなくとも、自らの手で経済的自由を手に入れている。著者は家計の苦しい母子家庭に育ち、自身も10歳から高校卒業までの8年間新聞配達を続けていた。お金をやりくりしてなんとか入ったハーバード大学では、お金持ちの友達や卒業後にとんでもない財を築いた友達もできた。だが、意外なことに大学時代の仲間にはいまだにお金に悩んでいる人が多い。一方の著者は、苦労している母が投資を始める姿を見たり、大学時代の彼女の父親が「自分の投資している資産の利回りだけで、自分の給料を上回れば、ゴールだ」と教えてくれたりと、お金との付き合い方を学んでいった。来日して英会話講師として働き、2年半ほどで奨学金を完済。投資を始めて25年以上経った今では、すっかりお金の心配から解放されている。その秘訣は、誰でも真似できる「お金の育て方」を見つけたことだ。
本書では節約の仕方から投資を始める土台作り、投資の仕方を解説している。著者の経験だけではなく、経済学のデータも示されているので納得しやすい。お金に振り回されない「経済的自立」は、誰でもできる工夫から生まれる。

本書の要点

・節約の第一歩は「老後計算機」を使いこなすこと。

いま使おうとしているお金が、老後にはいくらに成長する可能性を秘めているのか考えよう。
・投資を始める前に、まずは基本となる労働収入を増やすことを考え、節約と組み合わせて「そのうち資金」と「エマージェンシー(緊急事態)資金」を確保すべきだ。
・投資をするコツは「長期投資」と「分散投資」。1番おすすめの投資信託はS&P500に連動するインデックスファンドだ。



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