レビュー

経営者の評価は難しい。新たな事業を興し、拡大させることに成功して称賛を浴びる経営者は数多く存在するが、そのすべてが優れた経営者であるとは言い切れない。


しかし本書の著者・稲盛和夫氏は、誰もが優れた経営者と認める人物である。京セラを立ち上げ世界的メーカーにまで押し上げただけではなく、通信事業の自由化政策に即応し、それまで電電公社(現NTT)が独占していた市場に参入し、現在のKDDIを創業した。さらに2010年には会社更生法を申請し、事実上倒産した日本航空(JAL)の会長となり、赤字体質を脱却させ再上場へと導いた。
また、多くの経営者の指導にあたったことに加え、私財を投じて設立した稲盛財団では若き科学研究者たちの育成を支援。数ある名経営者の中でも、ここまで社会的なインパクトを与えた人物はそうそういない。
本書は、その稲盛氏が大切にしてきた人生哲学が詰まった一冊であり、「人生」と「ビジネス」を成功に導くための105の訓言が記されている。稲盛氏は「哲学を持つことでより素晴らしい人生を歩めるようになる」と述べ、人生において哲学を持つことの大切さを繰り返し説いている。また、ビジネスの成功には「情熱(PASSION)」が必要であり、それを支える7箇条についても具体例を交えて紹介している。
人生もビジネスも一筋縄にはいかない。その難事に挑もうとする者にとって、本書は心の支えになるのではないだろうか。

本書の要点

・成功の方程式とは、「人生の結果=考え方×熱意×能力」だ。飛び抜けた才能がなくても、誰よりも情熱を燃やして一生懸命努力する人は、大きなことを成し遂げることができる。


・自らの内にある「フィロソフィ」こそが、私たちを正しい意思決定へと導いてくれる。
・ビジネスの成功には「情熱」が必要だ。それを支える7箇条は「利益」「願望」「誠実さ」「真の強さ」「創意工夫」「積極思考」「決してあきらめない」である。
・夢を叶えるには、より強い願望を持たなければならない。創意工夫と努力をして、目的に到達するまで決してあきらめないことが大事である。



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