レビュー
本書の特徴は、「日本式」マネジメントではなく「外資系」マネジメントをベースにしていることだ。昨今は日本企業の評価軸も「年功序列」ではなく、「仕事の成果」を重視するようになってきているからだ。
本書には、成果を出し続ける外資系マネジャーが大切にする36のルールがまとめられている。決断を迅速にするマインドセットやチームの生産性を上げる方法、部下の主体性の引き出し方など、新任管理職が学んでおくべきスキルが詰まっている。
著者の櫻田毅氏は、米国の資産運用会社の日本法人で部長や執行役を務めてきた経歴を持つ。本書には著者が実際に経験したエピソードも差し込まれており、肩ひじを張らずに読み進められる。たとえば、仕事をすぐに片付けてしまう同僚を「仕事の速さにかけてはウサイン・ボルトのようだった」というくだりは、要約者の頭の中で同僚の姿が膨らみ、リアリティを持って受けとめられた。
AIをはじめとした技術革新により、ビジネスを取り巻く環境は急激に変化している。企業も従来のやり方にとらわれることなく、競争力を維持して生き残らなければならない。本書は2017年に刊行された『管理職1年目の教科書』に大きく加筆修正したもので、よりいまの時代に即した内容に改変している。
管理職は企業の要である。新任管理職に限らず、すべての管理職および将来の管理職候補にも目を通していただきたい一冊だ。
本書の要点
・管理職には迅速な意思決定が求められる。早めに「決断のデッドライン」を設定して決断を繰り返し、意思決定に慣れることが大切だ。
・生産性を高めるためには、目の前のことを「使えるか、使えないか」で判断せずに、「どうやったら使えるか」と考えるべきだ。
・部下への権限委譲とはできる人に任せることではなく、できない人に任せて、できるようにすることだ。正しく権限委譲するには、裁量権と判断基準の両方を与えなければならない。
・考えや意見を肯定する「イエスの文化」で、部下の自主性を引き出そう。
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