レビュー
本書は月刊誌『致知(ちち)』の創刊45周年を記念して刊行されたものだ。『致知』に掲載されたインタビューや対談の中から、「ぜひ後世に残しておきたい」と考えたものを収録したという。
人生は複雑だ。いろいろな要素で構成されている。この人生という予測のできない荒波に対処するため、人は学ぶ。本書でプロフェッショナルたちのインタビューを読んで他者の人生に触れることも、そうした学びの一環といえるだろう。
ひとたび本書を開くと、そこには間違いなく読者の知らない世界が広がっている。夢中で「カイゼン」を繰り返したトヨタ自動車の相談役、自分の時間をすべて患者のために使う脳外科医、命を賭けて青函トンネルの掘削にあたった元トンネルマン……。仕事というのは労働をして賃金を得ることのみを指すのではない。人生を賭し、知恵を絞り、力を振り絞って何かを成す人生賛歌でもあるのだ。
仕事に全身全霊を注ぐプロフェッショナルたちの熱量は読者を圧倒してやまない。並々ならぬ迫力が紙面からほとばしっているのである。彼らの生きざまは「ためになる」を超えた凄みを感じるものであり、壮絶とすらいえる。
本書を手に取ると、まずその物理的な重厚感に圧倒されるかもしれない。だが、ページをめくれば、それをはるかに凌駕する重厚なドラマを体験することになるだろう。
本書の要点
・トヨタ自動車の相談役(※文中の肩書はいずれも『致知』掲載当時)、張富士夫氏は、「トヨタ生産方式」の生みの親たる大野耐一氏から「カイゼン」の基本を教わり、最低5回は「なぜ?」を繰り返す習慣がついた。
・脳外科医の上山博康氏は信念をもって「医師道」を貫いてきた。凄まじい覚悟で手術台に上る患者に対し、それと同等の覚悟を持って執刀する。
・角谷敏雄氏は青函トンネルの元トンネルマンである。あまりにも劣悪な環境において、仲間たちが次々に命を落としていく中、青函トンネルは開通した。
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