レビュー
できれば他人に迷惑をかけずに生きていきたい。こんな気持ちはとても自然なものであるように感じられる。
本書の著者である小澤竹俊氏は30年近くホスピス医として4000人以上の患者さんを看取ってきた。命の灯火が消えようとしている人が、「人に迷惑をかけずに」生きることが困難であることは想像に難くない。体の自由がきかなくなり、誰かの助けなしには生活ができなくなったとき、自分の存在を否定せずにいられるだろうか。
人の役に立つことで自分の価値を測ろうとする考え方は、役に立たない自分を否定することにつながっていく。だからこそ著者は、たとえ全く誰かの役に立つことができなくなっても、人には存在するだけで価値があると呼びかける。その人が生きている、何気ない1日に価値があるというのだ。
「自分を否定しない習慣」は、人生の終焉を迎えようとしている人にとってのみ重要なわけではない。生きづらさを感じ、日々の生活にストレスや不安を感じている人が、毎日を穏やかに過ごすためにこそ、役立てたい習慣だ。そうした日々の積み重ねによって、最期の瞬間にも自分を肯定することができるのだろう。
本書の要点
・人生の終わりを迎えようとする人たちから、「迷惑をかけたくない」という言葉をよく聞くが、人生には人の支えが必要な局面がある。
・本当の幸せを手に入れるには、今の自分をそのまま肯定し、「自分は存在していていい」と心から思えるようにならなければならない。
・「自分を否定しない習慣」を手に入れる第一歩は、弱い自分を認め、支えてくれる人の存在に気づくことだ。
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