レビュー

近年話題になっている経営手法に「人的資本経営」がある。経済産業省によると、人的資本経営とは「人材を『資本』として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方」だという。

なんとなく「人を大事にすること」なのはわかるが、具体的には何をどうすればいいのだろうか。本書では50の「問い」が設定されており、それにひとつずつ答えていくことで、自分の組織ならではの人的資本経営が掴めるようになっている。
「問い」の形式をとっているのは、一般論や形式を覚えるだけでは、人的資本経営をすることが難しいからだそうだ。組織のあり方はその組織によって異なるため、それぞれに合った形で実践しなければ成果は期待できない。「問い」に答えるという形式をとることで、自分の組織の最適解が見つけられるばかりでなく、考え方そのものを身につけられるので、変化に合わせて柔軟に対応できるようになるのが本書の狙いだ。本書の「問い」を自社に当てはめていけば、論理的で再現性の高いフレームワークが身につけられるだろう。また、一目で理解できるよう、図解がふんだんに盛り込まれているのも嬉しい。
経営者や人事担当者はもちろん、「チームのパフォーマンスを上げたい」「部内の雰囲気を改善したい」といった悩みを抱えるリーダー層にも手に取っていただきたい。

本書の要点

・人的資本経営とは、「人」を資本と捉え、合理的・戦略的に投資を行うことである。
・近年、組織における「人」の重要性が見直されている。その背景には、「人」が生み出す無形資産の市場価値向上や、企業に持続可能な経済成長や社会貢献が求められていることなどが関係している。
・「競争に勝つ」企業になる最初のポイントは、戦略実現に必要な人の量と質を定める「人材ポートフォリオ」の策定と「組織文化」の構築だ。



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