レビュー
20世紀の初頭に誕生した、比較的新しい学問分野であるゲーム理論。現在では学問の枠組みを超えて、ビジネスシーンでも応用されるようになっている。
著者である逢沢明氏は、情報学者でありながらパズル作家でもあり、集めたクイズ・パズルは10万問ともいわれる。そんな著者らしく、本書にはゲーム理論に関連したクイズが多数用意されている。「自分の得する選択肢は?」「こんなときどちらを選ぶべき?」といったクイズに答え、その解説を読んでいるうちに、ゲーム理論の基礎が理解できてしまうという設計だ。
扱われるのはごく簡単なクイズでありながら、「ミニマックス戦略」や「囚人のジレンマ」など、ゲーム理論の重要な概念にもしっかりと触れている。クイズ本を手に取るような気軽さでどんどん読み進めていくうちに、ゲーム理論の謎もすっきりと解けていく。これからゲーム理論に触れようとする人にはもちろん、ちょっと頭を使うクイズに挑戦してみたいという人にも、本書をおすすめしたい。
本書の要点
・ゲーム理論は、相手との戦い(ゲーム)に勝つための理論・方法だ。これを応用して実生活で「かけひき上手」になることを目標にするならば、頭を「勝負頭脳」に切り換えなければならない。
・ゲーム理論の大前提は、賢い上に利己的な相手がいることだ。単に自分の利益が最大になる可能性を考えるのではなく、「本当に実現できる最大の利益」を得ようとするのが基本の考えだ。
・負けたときの損失を減らす視点も重要だ。「ゼロサムゲーム」では「マックス(最大)の損失をミニ(最小)にする」というミニマックス戦略の考え方が役に立つ。
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