レビュー

家族や友達とは気がねなく会話やチャットができるのに、仕事の文書やプレゼンの原稿を書くとなると苦手意識を感じてしまう。そんなビジネスパーソンは少なくないのではないだろうか。

仕事をはじめたばかりの方なら、上司や顧客へのメールを一本書くだけでも時間がかかってしまう、ということもあるだろう。生成AIの進歩によって、そんな悩みはなくなるという意見も聞く。プロンプトを工夫すればお手本のような文章を教えてくれるからだ。
では「言語化力を磨く」という努力は不要なのだろうか。答えはもちろんノーだ。AIが出力する文章は、テンプレートのように、参考になる点が多数ある。だが、自分が本当に伝えたいことは、自分自身で考えて、言語化していかなくてはならない。むしろ、AIによる文章があふれる中で、「自分らしさ」を感じさせる言葉を使う力は、今後ビジネスパーソンにとって重要な能力となるにちがいない。
本書では、相手に伝わる「言語化力」を高める方法が解説される。まず必要なのは「ヤバい」「ウザい」といった言葉の代わりに、より解像度の高い言葉を使っていくことだ。著者の講義を聞いているような気軽さで、「言語化」の本質にふれられる仕立てになっているのが本書の魅力だ。
相手思いの言語化力を磨いていくと、人生も、周囲の人との関係性も豊かになっていく。
本書を読んで「面白そう」と思ったところから気軽に実践してみてはいかがだろうか。

本書の要点

・言語化力とは、「何か」を「言葉」に変える力のことだ。だが、平安時代の人の一生分の情報に対する決断を1日でやっている現代人にとって、それは簡単なことではない。
・「ヤバい」のように、なんでもひと言で済ませられる言葉は危険だ。その便利さが「言語化力」はもちろん、生きる力や考える力までも奪ってしまう。
・言語化力の最も重要な心がまえのひとつは、「人を尊敬する」ことである。



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