レビュー

チームは常に「困難」にさらされている――。そう言われても、のんびりした人は「そうでもないよ」と思うかもしれない。


ここで、本書の「はじめに」に例示されている「困難」の一部を挙げてみよう。人手不足に業績不安、取引先の無茶な要求、理不尽なクレーム、SNSの炎上、ギスギスした人間関係、エースの離脱。これらにまったく無関係でいられるチームはほとんどないはずだ。たいていのチームは、次々に「困難」に襲われて常にストレスフルな状態にあり、通常業務をこなすだけで精一杯、「チームのあるべき姿とはどのようなものか」「どうすればより大きな成果が出せるか」などに思いを馳せる余裕はまったくないはずだ。
本書は、職場のレジリエンスを研究する池田めぐみ氏と人と組織の可能性を活かした新しい経営・マネジメント論を探究する安斎勇樹氏が、「チームレジリエンス」を発揮する方法を教えてくれる一冊だ。よりわかりやすく言うと、チームに降りかかる「困難」に対処し、「困難」から学び、次なる「困難」の被害を最小化する具体的な方法が示されている。この3つのステップを実践できれば、あなたのチームは、どんな状況下でも安定的に成果を上げられるだろう。
予測不可能な時代が到来したと言われて久しいが、そんな時代にすべきことを具体的に指南してくれる本は意外と少ないものだ。本書をチーム全員の必読書とし、日々実践に勤しめば、時代がどう変わっても、売上不振やメンバーの離職などといった問題とは無縁のチームが出来上がるだろう。

本書の要点

・チームレジリエンスとは、チームが「困難」から回復したり、成長したりするための能力やプロセスのことだ。
・レジリエンスの高いチームは、困難に直面した時、「課題を定めて対処する」「困難から学ぶ」「被害を最小化する」の3つのステップを踏む。
・困難を早期発見するポイントは、“流行り病”から学ぶことと、チーム内部の困難のサインを察知することだ。

困難のサインをいち早く察知するには「スケジュールの遅れ」に注目するとよい。



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