レビュー
「死の組」。これは、2023年のバスケットボールワールドカップの予選ラウンドで男子日本代表が所属するグループが、ドイツ、フィンランド、オーストラリアという強豪ぞろいであることを指した言葉だ。
運悪く強豪ぞろいのグループに振り分けられたものの、ここで好成績を収めなければパリ五輪出場権は手に入れられない。さて日本代表はどう戦うのか――。
このような大きなプレッシャーがのしかかる状況で、日本代表は、初戦のドイツ戦こそ負けてしまったものの、続くフィンランド戦では逆転勝利。ワールドカップで初めてヨーロッパのチームを破るという偉業を成し遂げた。その後もベネズエラとカボベルデに勝利を収め、見事パリ五輪への切符を手に入れた。
ヘッドコーチとしてそんなチームを導いたのが、本書の著者、トム・ホーバス氏だ。ホーバス氏はバスケットボール女子日本代表のヘッドコーチとして東京五輪の銀メダルに導いた後、男子代表のヘッドコーチに就任。選手たちの力を存分に引き出してきた。
本書では、4つの章に分けて、ホーバス氏のチームマネジメント手法がつぶさに明かされている。
バスケットボールファンに特に注目してほしいのは、第4章の「逆境をどうはね返すか」だ。「死の組」での戦いにおいて、ホーバス氏がどのようにチームを引っ張っていったかが、手に取るようにわかるだろう。
もちろん、バスケットボールファンでない人にも、読みどころはたくさん散りばめられている。
本書の要点
・目標が低すぎてはダメだ。高い目標を掲げることによって人は成長する。
・指導においては、選手一人ひとりに役割を与えることが大切だ。自分の果たすべき役割を理解していない選手は力を出し切れない。
・自分で自分の能力の「天井」を決めず、常に「自分史上最高」を目指してチャレンジを続ける。これが選手たちのあるべき姿だ。
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