レビュー

「2040年、働き手が1100万人足りなくなる」。この一文に衝撃を受けた。


リクルートワークス研究所では、2040年の労働市場に対する未来予測シミュレーションを行った。本書はその結果をもとに、今後日本が直面する「労働供給制約」の実態を明らかにしていく。労働供給制約とは、社会の維持に必要な働き手を供給できなくなる構造的な人手不足のことだ。
これまで人手不足というと、後継者やデジタル人材の不足といった産業・企業視点の問題のように捉えられていた。しかし、これからの日本が直面するのは、生活維持に必要な労働力を日本社会が供給できなくなるという、クリティカルな社会問題である。物流、建設、介護、医療などのサービスが縮小・消滅を余儀なくされるというシミュレーションは、大きな反響を呼んでいる。
だが、本書は驚愕の事実を読者に突きつけて終わりではない。働き手不足を解消するための「4つの打ち手」を提言し、さらに先の未来に向けて、個人・企業・行政がどんな行動をとるべきかを示していく。その根底には、日本社会をよくしたいという著者らの強い使命感がある。
シミュレーションの結果と分析は、次にとるべきアクションを練るための出発点となる。未来を数字で直視し、具体的な行動を起こせば、将来を変えていける。まさに、「危機」を「希望」に変える書だ。
これからの生き方・社会のあり方を考えるための羅針盤としておすすめしたい。

本書の要点

・これからの日本は「労働供給制約社会」を迎え、生活維持に必要な労働力を供給できなくなることが予測されている。労働供給は2040年に1100万人余り不足する。
・著者らは、労働供給制約という危機が、日本を新しい豊かな社会に変えるための突破口になると考えている。そして、働き手不足を解消するために4つの打ち手を提示する。それは、「機械化・自動化」「ワーキッシュアクト」「シニアの小さな活動」「仕事におけるムダ改革」だ。



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