レビュー

根拠を示せと上司に詰められて、四苦八苦してしまう。なんとなくで考えて、なんとなくの「答え」を出してやり過ごすこともひとつの能力だが、それだけではいずれ壁にぶつかるだろう。

何かへと導きそうなデータは世の中にたくさんあふれている。しかし、そこから情報を引き出せる力が不足している。
そこで大企業もこぞって求めているのが、データサイエンスの知識だ。本書の編著者である滋賀大学データサイエンス学部は、日本初のデータサイエンス専門学部であり、重点教育の拠点校である。
データを扱うには統計の知識が必須だが、細かな計算はコンピュータでカバーできる。データが示していることを理解し、適切に説明できることのほうが大切だ。解釈によっては完全に誤った方向に進んでしまうこともある。だからこそ、データサイエンティストの役割が重視されているのだ。
コンビニで売っている多種多彩なお茶について、味の違いはどれだけ売り上げに影響しているか。なぜあの観光地にはあんなに人が集まるのか。データサイエンスによる「答え」の導出プロセスは、ほかのさまざまな商品、サービスにも応用可能だ。「なんとなくこのブランドが好き」という曖昧な感覚に、説得力をもって応えられる。
人びとの「好き」を刺激するヒントが詰まっている。
データに悩まされているすべてのビジネスパーソンに、本書でデータサイエンスの一端に触れていただきたい。

本書の要点

・データサイエンスは、データに基づく知見を人間・組織の意思決定に活用していく科学である。
・オープンデータの集計データによってまず仮説を構築し、より精緻な分析が必要となった段階で個票データの収集に取り組もう。
・重回帰分析によって、「ある説明変数の効果を、他の説明変数の効果を除去した上で導き出せる」。
・統計的仮説検定は、データの背後に確率分布と呼ばれる何らかの仕組みを想定し、手元のデータが得られる確率から結論を導く手法である。



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