レビュー
日本の大学や専門学校に詳細な営業メソッドを教える課程がないことを不思議に思っていたが、本書を読み、その疑問が氷解した。営業という仕事は知識と経験に基づいた職人技のようなものだから、体系立って教えることが甚だ難しいのだろう。
本書は伊庭正康氏が営業に必須の「気くばり」をまとめたものである。伊庭氏は「営業の強い会社」として定評のあるリクルートグループで法人営業に従事し、プレイヤー部門とマネージャー部門の両部門で年間全国トップ表彰を何度も受けたのち、研修会社を設立して年間200超のセッションを行ってきた。『できる営業は、「これ」しかやらない』などの著書を読んだことのある人も多いはずだ。
冒頭では「営業としての『気がきく度チェック』」として、「信頼される力」「心をつかむ力」「売れる力」「愛される力」「頼られる力」に紐づく項目が用意されている。自分に足りない「力」を見つけて、それぞれに対応する章を読み進めればいい仕掛けだ。
また「はじめに」では、営業AさんとBさんの比較が示される。Aさんは、自分のペースで契約を進め、契約後は何のフォローもせず、追加サービスの案内ばかり送る。一方のBさんは、顧客の不安を感じ取って対応するだけでなく、契約後も相談に乗って、相手が困っているタイミングでフォローできる人物だ。
本書には、Bさんのような営業になるためのノウハウが満載だ。知識と経験が足りなくても、著者が惜しみなく明かすノウハウを実践すれば、「勝手に売れてしまう」営業になれるだろう。
本書の要点
・契約前だけ頑張るのではなく、契約後のアフターフォローに力を入れると、どんどん売上が上がる。
・商談は、ラポール(うちとけた場づくり)→ヒアリング(本当の課題を確認)→プレゼン(解決策を提案)→クロージング(申込書をいただく)の流れで進めよう。
・忙しいお客様に連絡する際には、「**が気になりまして、連絡をさせていただきました」と言えばいい。
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