レビュー

社会人なら避けて通れない「ビジネス会話」。とはいえ、一言で「ビジネス会話」といっても、会議、商談、プレゼンテーション、1оn1、接待、雑談……と、その範囲は広い。


さらに、商談とプレゼンでは必要とされる技術が違うし、1оn1と雑談も似て異なる。「これは得意だけど、あれは苦手」ということも珍しくない。自分の苦手分野をピンポイントで克服すべく、スキルの向上に取り組んでいる人も多いだろう。
もちろんそれも一案だが、「細部にとらわれるあまり、本質的なことが置き去りになっていないか?」と疑問を投げかけるのは、本書の著者・澤円氏である。「ビジネス会話」も、人と人とのコミュニケーションに変わりない。目先のスキルを磨く前に、まずはその本質を考えるべきではないだろうか。
そもそも、ビジネスには「課題解決」という目的があり、ビジネス上の会話はそこに至るためのプロセスである。話すことでお互いへの理解を深め、前向きなアクションにつなげることで対象に貢献していく。それこそが「ビジネス会話」の役割であるはずだ。「話し方」に気を取られ、肝心の目的が果たせないようなら本末転倒。「うまく話す」ことは必須事項ではないのだ。
本書では「ビジネス会話」の肝となるマインドセットを叩き込み、それを軸にした各種スキルを紹介する。
“プレゼンの神”と呼ばれる著者の解説は、非常にわかりやすく納得感がある。“話し方迷子”になっているビジネスパーソン必読の一冊だ。

本書の要点

・「ビジネス会話」において「うまく話すこと」はさほど重要ではない。「会話の目的」を明確にし、相手とゴールを共有することが大切だ。
・「正しいこと」はAIが代替してくれる。正解や「言う資格」にとらわれず、自分の意見を堂々と述べよう。
・初対面の相手には積極的に「自己開示」をしよう。顧客と信頼関係を築くには、「この人なら相談できそうだ」と思ってもらわなければならない。
・会議は「未来」について相談する場である。報告・連絡は事前に済ませ、未来へのアクションを生み出す時間にするべきだ。



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