レビュー

2020年度以降、小・中・高等学校で新しい学習指導要領がスタートしている。そこでのキーワードは「探究学習」。

激しい時代の変化に対応するために、子どもに自ら問いを立てて解決する力を身につけさせようと、探究的な学びが重視されている。同様の能力はビジネスの現場でも重視され、「課題解決力から課題発見力へ」をスローガンに自律型人材の育成の必要性が盛んに叫ばれるようになってきた。探究するべき「問い」を発見する力が必要なことに多くの人が気づき始めているが、「問う力」を教わってきていない世代は、自ら「問う」ことも、他者の「問う力」を育てることも難しいのが現状だ。
編集工学研究所・代表取締役社長の安藤昭子氏は、本書で「問う」という行為そのものを探究し、そのプロセスを体系化しようと試みる。「内発する問い」のメカニズムを、人間の持つ「編集力」の視点から読み解き、問いを喚起する方法論や、豊富なワークを展開していく。人材育成や組織開発、教育プログラムの設計を手がけてきた著者ならではのエピソードがふんだんに紹介される。自律的に学ぶ力を自ら身につけたいと願う人、そして教育や人材育成に関わる人にとって、本書はたくさんのヒントを与えてくれる一冊になるだろう。読み終わったら、自分だけの「問い」を探しにいきたくなるはずだ。

本書の要点

・「問う」という行為は、つきつめれば「情報」を「編集」することだ。「問いの編集力」は、誰もが持っている「編集力」によって、その人ならではの内発する「問い」を引き出そうとする試みである。
・本書は、問いが生まれるプロセス、「問い」の土壌をほぐす、「問い」のタネを集める、「問い」を発芽させる、「問い」が結像する、の4つのフェーズで考えた。
・問いの編集力とは、「問う」という知的営みを、一人ひとりの編集力でアップデートするプロジェクトだ。



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