レビュー

毎日元気に働いていた人が、突然倒れて帰らぬ人となる――。時折このようなニュースを耳にするが、要約者はどこか他人事のように感じていた。

しかし本書を読んで、それは誰の身にも起きる可能性があると実感させられた。
著者はかつて、兵庫県尼崎市役所で市の職員の健康管理を担当していた。当時、職員は約4500人いたが、毎年多くの職員が亡くなっていた。60歳以下の現役世代であるにもかかわらず、その数は多い年で20人近く。著者はその事実に驚愕したという。
死因は、心筋梗塞や脳卒中などの「生活習慣病」が多かった。しかし彼らの健康診断データは、特に悪いというほどでもない。そこで著者は過去のデータをつなぎ合わせて検証したところ、ある傾向が明らかになった。それは、30~40代から肥満が続き、40歳を越した頃から血圧や中性脂肪など複数の数値が上がり始めていたことだ。
その数値は、正常値から少しはみ出した程度であった。それでもその状態が長く続いた上に何らかの要因が重なると、突然、脳や心臓の血管が破綻してしまうのだという。
おそらく読者の中には「健康診断で数値の良くない項目があった」という人もいるだろう。
そのときは気になっても、体に支障がなければいつも通りの生活を送ってしまう。要約者もその1人である。
だが本書を読んで「このままではまずい」と本気で思い始めている。本書には「なんとかせねば」と思わせるのに十分なエビデンスと、丁寧かつ適切な改善指南が載っている。自分や家族のためにも、多くの現役世代に読んでいただきたい。

本書の要点

・特定健診(メタボ健診)の結果の項目をバラバラに見るのは「正しい見方」ではない。健康状態と「血管の状態」は比例する。血管が痛むと動脈硬化を起こし、脳梗塞や心筋梗塞、糖尿病合併症などを起こす可能性が高くなる。健診では自分の「血管の状態」を知ることが重要だ。
・働き盛りでいきなり倒れる人は、特定の数値が悪いというより、「ちょっと悪い」項目が複数あるケースが多い。
・健診結果が悪くても自覚症状はない。具合が悪くなったときは「すでに重症」なのだ。



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