レビュー
本書は、オードリー・タンの思想と実践を明らかにする一冊だ。彼女は、10代の頃に起業した天才プログラマーであり、台湾のデジタル担当大臣を務め、革新的なデジタル化を推進してきたことで一躍時の人となった。
本書は、こうしたテーマを明らかにしながら、これからの時代に合った働き方やコミュニケーションの手法を提案する。一貫して伝わってくるのは、知識の共有を通じて「競争」ではなく「共創」を目指すことがますます大事になるというオードリーの信念だ。
本書の面白さの1つは、オードリーの時間の使い方や読書術、睡眠記憶法のようなテクニックも惜しむことなく紹介されている点である。睡眠記憶法とは、眠る前に大量の情報を集中して読み込んで、翌朝には記憶するというものだ。すぐに実践したくなる内容が目白押しである。また、デジタル・レジリエンスの必要性を訴えかけるなど、社会全体の未来をよりよくするための視点も数多く学べるよう工夫されている。
オードリーの発想は、未来から現在を見据えており、常に新しい可能性を秘めている。柔軟性と独自性に満ちた思考とそれを支える行動哲学は、私たちが様々な課題に取り組む上で貴重な指針となってくれるだろう。
本書の要点
・独学の道を進むためには、意気投合する仲間を見つけることと、大量の情報から自分だけの知識体系をつくり上げることが大事である。
・問題にぶつかった際は、みんなでアイデアを出し合い、責任を分担して共創と協働を目指せばよい。
・オードリーは、各自の価値を提供し合い、共同で仕事をする状態、「共好(ゴンハオ)」を重視している。
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