レビュー

2023年3月期決算から、上場企業を対象に「人的資本の情報開示」が義務化され、人的資本経営に関する取り組みの注目度が増している。本書では、働き方のトレンドと、持続可能に働くためのポイントを提示する。

さらに、経営層や人事部門が人的資本情報の開示にどう向き合い、従業員体験を向上させていくとよいか、全体像を整理してくれる。
ところで、「持続可能な働き方」とはどのようなものか。著者はこのように表現する。「自らが持てる『強み』によって自然な形で組織や社会に貢献し、不必要な『無理』を強いられることなく、適度なパフォーマンスを持続的に発揮し続けていけるような働き方」。この働き方の実現は、人事はもちろん組織一体となって目指すべき経営の最重要課題であり、HRテクノロジーの活用が欠かせないという。
本書の魅力は、従業員視点を大事にしている点だ。現状、人的資本経営に関する書籍は経営者視点のものが多いように感じる。だが、著者は、従業員のウェルビーイングに配慮し、どのような採用・配置、人材開発、組織開発、労務管理が求められるのかを丁寧に指し示す。
個人の観点なら、「自律的キャリア」を念頭に本書を読み進めるとよいのではないだろうか。また、人事の方々は、「従業員体験を向上させるために、HRテクノロジーを活かして何を実現するのか?」という問いを持って読んでいただきたい。自社で何から取り組むべきか、その足がかりを見つけるのに役立つはずだ。

本書の要点

・日本企業の人事部門は、「エクスペリエンスの創出」「人材獲得競争」といった課題に直面している。


・今後はHRテクノロジーを活用し、日本型経営のよい面を残しつつ、現代風にアップデートすることが求められる。その活用が期待されるのが「育成(人材開発)」領域だ。
・本書では「採用・配置」「人材開発」「組織開発」「勤怠・労務管理」などにおけるHRテクノロジーの活用について、その特徴を紹介していく。



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