レビュー

日本を代表する企業となったファーストリテイリング(以下、ユニクロ)。ユニクロのすごさは誰もが認めるところではあるが、数字を見ればより実感することができる。


まず、時価総額は国内7位の14.5兆円(2024年8月23日時点)。さらに「将来の成長期待値」といわれるPBRは、時価総額トップ10企業の中で第1位。つまりユニクロは、日本で最も成長と価値創出が見込まれている会社なのだ。
地方のいち洋品店がここまで成長できたのは、もちろん創業者・柳井正氏の功績が大きい。しかし本書の著者でありユニクロの執行役員を務めた宇佐美潤祐氏は、ユニクロの強みは「仕組み化」にあると断言する。生産性向上、人材育成、イノベーションの創出、スピード経営。ユニクロではあらゆることが仕組み化されているのだという。
たとえば、店舗における仕組みと聞くと、「〇〇のときは××する」というマニュアル的なものを想起するかもしれない。しかしユニクロの仕組みは「なぜそれをやるのか」という指針であり、具体的な行動を指し示すものではない。日々の業務の中では、想定外の事態やトラブルも発生する。しかし、スタッフひとりひとりが自分の頭で考え、自律的な動きができれば生産性は上がるし、多様なアイデアも浮かんでくるだろう。ユニクロは自律人材の宝庫であり、それが組織成長のエンジンとなっているのだ。

本書を読むことで、変革と挑戦を続けるユニクロの強さの秘密を知ることができる。ビジネスリーダーや経営に関心がある方にとって、学びの多い一冊だ。

本書の要点

・大勢の組織メンバーの意識を変えるには「仕組み化」が必要だ。
・ユニクロには、経営理念を実践に落とすための「原理原則」がある。「原理原則」はマニュアルと違い「なぜやるか(Why)」が書かれており、全スタッフの行動指針となっている。
・ユニクロでは「ひとりひとりが経営者になること」が求められる。その意識づけを仕組み化したものが「経営者になるためのノート」だ。
・現在の3倍の高さの目標を掲げる「3倍の法則」は、ユニクロのイノベーションの原動力となっている。



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