レビュー
「人材マネジメントとは何か」――たとえ人事として経験を積んでいても、この問いに端的に答えられる人は決して多くないだろう。だが本書を読めば、人材マネジメントに対する解像度が上がるはずだ。
著者の坪谷邦生氏は、人事担当者、人事マネジャーとして12年の経験を持つ。そんな坪谷氏は本書の「はじめに」で、読者に向けて次のように書いている。
「私は新卒2年目でエンジニアから人事に転身したのですが、そのとき人材マネジメントの領域の広さに驚き、捉えようのなさに混乱し、理解に苦しみました」
おそらく多くの人事経験者が、坪谷氏の驚きと混乱、そして苦労に共感するのではないだろうか。
本書では著者の豊富な経験をもとに、人材マネジメントを体系的に学べる一冊としてデザインされている。人材マネジメントは「人事評価」「報酬」「等級」「リソースフロー」「人材開発」「組織開発」という6つの要素で構成されているとし、それぞれの要素について、1~2つのチャプターにわたって解説する仕立てだ。
初学者にとってありがたいのは、一つひとつのチャプターが見開き完結で、左ページにテキストが、右ページに図が配されていることだろう。さらに、左ページの上部にはその見開きのテーマを端的に表す問いが、右ページの上部には問いの答えが明記されている。人材マネジメントについてよりスムーズに理解するために、まずそれぞれのページのQ&Aに目を通してから通読するのもおすすめである。
本書の要点
・人材マネジメントは「人事評価」「報酬」「等級」「リソースフロー」「人材開発」「組織開発」という、お互いに有機的に結びつく6つの要素から構成されている。
・人事評価の目的は「公平感ある処遇の分配」「社員の活用と育成」「企業文化の醸成」だ。中長期的に見ると、特に「企業文化の醸成」が重要だ。
・健全な組織を実現したいなら、代謝(退職)の設計が不可欠だ。
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