レビュー
仕事にはパソコンが欠かせないが、かつてはすべて手作業で行われていた。言わずもがな、パソコンは最強の「効率化」ツールだ。
著者はその理由に「効率化と労働時間の短縮は問題が別」であることを挙げる。どんなに作業スピードを上げても仕事の量自体は減らず、どんどん上から降ってくる。だからまず、「仕事を減らす」努力をしようというのが本書の主張だ。
そもそも、著者が「仕事を減らす」ことにたどり着いたのは、自身の経験からだ。新卒で就職した金融機関では、周りから「ご愁傷様」と言われるほど多忙な部署に配属。1週間かかる仕事を1日で終わらせなければならないなど、過酷な日々が続いた。そんな環境で働く中、「どれだけ仕事を速くこなしても、仕事は終わらない」ことに気がついたのだという。
とはいえ、あなたが会社勤めの身であるならば、仕事の量を自分で決めることは難しい。それでも、ムダなやり取りや作業、やり直しの手間などを減らすことで、時間の余白を生み出すことができる。本書ではその理論と手順を科学的エビデンスとともに、丁寧に教えてくれる。
もっと自分の時間がほしい、最小限の努力で成果を出したい、時間も心も余裕のある生活を送りたいという人にうってつけの一冊だ。
本書の要点
・どんなに効率を上げても仕事が減ることはない。「効率化」と「労働時間の短縮」は別問題だ。
・頭の中の思考は無秩序に広がり続ける。思考は「書く」「口に出す」など、頭の外に出すことで整理される。
・忙しいときに仕事を頼まれたら「頼み返す」といい。これにより、自己犠牲による仕事の増加を防ぐことができる。
・仕事のボールはなるべく早く投げ返そう。「ボールがない状態(確認待ち状態)」にすることで、仕事を一時的にゼロにすることができる。
・ダブルチェックは必ずしも複数でやる必要はない。ひとりで行う際は、異なる観点から複数回チェックすることが重要だ。
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