レビュー
労務の仕事には、確かな知識と経験が求められる。これまで幅広い業務に対応し、「経験」は積んできたが、「知識」には自信がない……そんな労務担当者には本書を読んでほしい。
本書は、労務領域において豊富な知識と経験を有する3名の著者が、労務に関わる知識を体系的かつ網羅的に、図を用いて解説する一冊である。著者陣は、「人事の意志をカタチにする」ことを目的として壺中天を設立した坪谷邦生氏、特定社会保険労務士の資格を有し、事業会社で人事コンサルタントと人事部長を務めた経験もある岩田佑介氏、事業会社にて人材紹介、自社の新卒採用、ベンチャー企業向け採用戦略コンサルティングなど幅広い業務に従事したのち、社会福祉法人で人事労務責任者を務めた古茶宏志氏の3名で構成されている。
著者らによると、労務は「ルール」「労働時間と対価」「生活と健康」「雇用」「労使関係」「労務体制」という6つの要素から成る。本書では、これら6つの要素とそれぞれを構成する「100のツボ」について、見開き完結で、左ページに短いテキスト、右ページに図解というフォーマットで解説されている。テキストも図も非常にわかりやすいため、自分が担当したことのない領域でも、どんどん知識を吸収できるはずだ。
本書は『図解 人材マネジメント入門』『図解 組織開発入門』『図解 目標管理入門』に続くシリーズ4作目である。4冊あわせて読み込めば、かなりのレベルアップが見込めることだろう。
本書の要点
・労務担当者は、就業規則を適切に運用する役割を担う。労務上の手続きをする際や従業員からの相談に対応する際には、就業規則の条文を参照して「どの条文をあてはめるのか」を意識することが重要だ。
・誤解されやすいが、介護休業は仕事と介護を両立できる体制を整えるためのものであって、労働者自身がメインで介護を行うためのものではない。社内向けの研修などを通じて、介護休業の趣旨を周知しよう。
・労務担当者の「成果」の指標として「どれくらいEX改善につながっているか?」がある。
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