レビュー

感謝をすることで人生が好転する。「ありがとう」の多い職場はエンゲージメントが高い――。

「感謝の力」は様々な場面で耳にするが、「なぜそうなのか」について体系的に語られることはほとんどない。
本書は、精神科医の樺沢紫苑氏と感謝研究家の田代政貴氏がタッグを組み、あらゆる側面から「感謝」による効果とその科学的根拠を明かした一冊だ。
感謝の効果は山のようにあるが、その1つが「心身の健康」だ。ある研究によると、感謝の気持ちを持ちやすい人ほど良い睡眠が取れるという。さらに、ストレスの軽減や自己肯定感の向上にもつながる。本書では、感謝が心身にもたらす影響について、エビデンスとともに示されている。
感謝の対象は「誰かにしてもらったこと」に限らない。それは“初歩的な感謝”であり、当たり前のことやネガティブな事象にも感謝をすることがポイントだ。住む家がある、きれいな水を飲める、同僚が笑顔で挨拶してくれる。あまりにも当たり前で見過ごしてしまう「今、ここにある」ものに対して、どれだけ感謝の心を持てるか。「いやだな」と思うことにも「良いこと」を見出し、学びにつなげられるか。これが「感謝脳」になる重要な観点だ。

とはいえ、「つい感謝することを忘れてしまう」という人もいるだろう。そんな人は、寝る前に「感謝日記」をつけてほしい。1日3つ、各1行、小さな感謝を記していく。これを続けるだけで自然と感謝体質になり「感謝脳」に近づくことができるという。
本書を読めば、感謝したくてうずうずしてくるはずだ。

本書の要点

・「感謝脳」とは、日常の「当たり前のこと」や、ピンチや逆境にも「ありがとう」と思える状態を指す。
・感謝をすることで心身の健康に良い効果をもたらすことが、様々な研究で明らかにされている。
・感謝には「親切への感謝」「日常への感謝」「逆境への感謝」の3つのステージがある。
・感謝することで3つの幸福物質(セロトニン、オキシトシン、ドーパミン)が分泌される。
・「感謝日記」をつけると日常への感謝の心が生まれ、人の小さな親切心に気づけるようになる。



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