レビュー
上司がとにかく細かいところばかり指摘してくる。取引先の人はいつも気前よく返事するけれど、ちゃんと検討してくれないことがある。
長い営業経験のなかで蓄積した確かな技術をもとに著者が磨きあげた対人メソッドは、苦手な人への向き合い方を根本から変える。意識を人からコミュニケーションタイプに向け、スタイルが違っているからうまく歯車が噛み合わないのだ、ということに気づかせてくれる。
相手という“人間”に囚われると、どうしてもイライラが募ってしまう。コミュニケーションタイプの違いだと考えられれば、この本にもたくさん登場する表現だが、「あのタイプなら仕方ない」と割り切ることができる。逆に自分のタイプを認識していれば、なぜ相手を遠ざけてしまいたくなるのかも明快になる。あとは、異なるタイプ同士でうまくやるための“ツボ”を見つけるだけだ。
ベースとなるのは、自分のことを客観的に把握できること、そして、どんな相手でも知ろうとする気持ちである。著者は、初対面で苦手に感じる人であっても、10回は会ってみるという。そうするうちに相手のスタイルが見えてくれば、もう怖いことはない。その著者のあり方に触れるだけでも、自分の人間力が上がっていく気持ちになるから不思議だ。
本書の要点
・苦手に感じる原因は、「『相手』にあるのではなく、自身の『評価』でしかない」。
・自分の評価のクセ、相手のパターンを知っておけば、自分の認知を調整したり、トラブルを回避したりできるようになる。
・苦手な人への評価を変えるのに役立つのが、ソーシャルスタイル理論をベースに著者が開発した「相性マトリクス」である。
・とにかく強引にでも、「相性マトリクス」の4つのタイプに当てはめて、問題をシンプルにすることが大切だ。
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