レビュー
「後輩が何を考えているのかわからない。いつもニコニコしていたのに、急に退職してしまった」
「取引先と腹を割った会話をしたことがない。
相手の本音が見えず、人間関係に悩んだ経験は誰しもあるのではないだろうか。特に、話しづらい相手に心を開いてもらうのは至難の業だ。
本書の著者・田中知子氏は、リクルートで求人広告営業を経験したのち、31歳でNHK青森のキャスターに転身。女性ながらに大相撲を体当たりで取材し、多くの力士にインタビューを行ってきた。本書は、そんな著者の経験をベースにした「本音を引き出すテクニック」が詰まった一冊である。
著者はリクルートの新人時代、毎日200件の飛び込み営業をこなし、何度も心が折れそうになったという。しかし、数をこなすうちに人との接し方が分かるようになり、やがて新規獲得数トップの常連に。その後はキャスターとして取材経験を重ねていった。
本書ではコミュニケーションスキルが40個紹介されており、それらは大相撲の縁起の良い言葉「金星(きんぼし)」になぞらえ、「金星メソッド」と名付けられている。「読者にもコミュニケーションの金星をとってもらいたい」という著者の思いが込められたネーミングだ。
著者の柔らかな雰囲気が伝わってきて、あたたかく和やかな気持ちで読み進められる一冊。ぜひ、気になるメソッドから試してみてほしい。
本書の要点
・相手から本音を引き出したいときは、「相手がリラックスできる慣れ親しんだ場所」を選ぶのが効果的だ。
・話が終わりそうなタイミングで「最後にひとつだけよろしいでしょうか?」と尋ねると、相手の本音や重要な情報が引き出しやすくなる。
・沈黙は、相手の「シンキングタイム」。焦らず、「待っていますから大丈夫です」というスタンスで、相手の言葉を引き出すことが大切だ。
・厳しい場面やアウェイな環境も、「仮面」をかぶることで乗り越えることができる。
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