レビュー
アートに憧れはあるけれど、どうやって楽しめばいいのかわからない。学校の美術の授業では、結局アートの何がすごいのか全然ピンと来なかった。
著者である鈴木博文(美術解説するぞー) 氏は9年間の美術教員経験を経て、現在では美術史やアート鑑賞を解説する活動を行っている。本書では、アート鑑賞の視点をたった9つに凝縮し、アート初心者にもわかりやすく解説している。アートの中でも「現代アート」は「わかる人にしかわからない」難解なものとして敬遠されがちだ。ところが本書の9つの型を通して見るだけで、何が面白いのか、何を楽しめばいいのかがすっきりと納得できる。美術史的な内容も登場するが、「作品をどう楽しむか」という視点で要点を絞って説明されているので、アート初心者にもとっつきやすい。普段からアートを楽しんでいる人にとっても、新たな見方を与えてくれる内容だ。
書籍には作品写真や解説イラストが豊富に掲載されているので、読むだけでもまるで現代アートの展示会へ行ったかのような満足感がある。まずは自分のペースでじっくりと、それぞれの作品の背景を理解しながら、「自宅アート鑑賞」を存分に楽しんでもらいたい。一冊読み終わった後は、美術館へ行って本書の「9つの型」を実践してみたくなっているはずだ。
本書の要点
・「自由に観るのがアート」というイメージのために、多くの人はノーヒントで美術を鑑賞することになり、楽しみ方がわからなくなっている。歴史的背景や社会的文脈を踏まえた上で鑑賞することが、アートの多様な側面を理解するための指針になる。
・本書は9つの「型」を通して、アートを深く味わうための視点を提供する。これを使えば、アートを考察する楽しみを感じることができ、自分の価値観が揺さぶられるようなアート鑑賞の醍醐味を感じられるだろう。
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