レビュー
著者の伊藤賀一氏は、43歳でかつての第1志望だった早稲田大学に一般受験で再挑戦した。見事合格を果たして2度目の大学生活を送った次は、人生3度目の大学生活を目指して「浪人中」である。
本書では、教える側の視点も知る著者が、高等教育の現場に身を置いて得た発見を、余すところなく紹介している。世代を超えた若者との交流や、恩師との出会い、所属ゼミの活動で生まれた地域との縁など、40代での大学生活は多様なつながりを生み出している。そこで得た「学び」が「仕事」にもつながる、そんな理想的な「学び直し」の様子に、自分も学びたいと背中を押される人は多いだろう。
しかし社会人学生として大学で学ぶということが、大変な困難を伴うことも事実である。仕事・家庭と、学業を両立させなければならないことに加え、仕事の時間を減らして学ぶことによる金銭面の負担も無視できない。そもそも大学合格のために受験勉強をすることだけでも、社会人にとっては一苦労であるはずだ。
著者はそうした現実にも触れながら、自らの受験対策の状況についても赤裸々に明かし、その道がけっして平坦ではないことも示している。それでもなお著者が3度目の大学受験に挑戦するのは、「学ぶ」ことの魅力にとりつかれてしまったからだ。その魅力に触れたい、もう一度学びたいと願う人は、ぜひ手に取ってほしい。
本書の要点
・40代でかつての第1志望であった早稲田大学に合格し、2度目の大学生活を送った著者は、「学び続ける」魅力にすっかりハマってしまった。
・学びの究極の目的は、「自らを高めたい」という総合力的な要求である。
・大学に入り直したことによって、著者の仕事の幅が広がり、新たな学問分野への関心も高まっていった。
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