レビュー

「努力は報われるのか?」という問いがある。
この問いを投げかけると、「どんな努力もいつかは必ず報われる」「いや、報われない努力もある」「そもそも、成功と努力を結びつけること自体が間違いだ」などなど、たちまち大変な議論が勃発してしまう。

そして多くの場合、議論は平行線をたどる。なぜか。それは、「努力とは何か?」が曖昧なまま話が進められるからだと著者は語る。本書では、曖昧に語られがちな「努力の構造化」を試みる。
本書は努力を、「努力」と「報酬」、そして両者をつなぐ「神話」の3つに分類し、タイトルよろしく、その「地図」を描く。おもしろいのは、「努力」と「報酬」をつなぐプロセスを「神話」と称するところだ。人は誰もがこのプロセスに、自分の経験則からくるロジックを無意識に採用する。それは自分が「こうあるべき」、あるいは「こうであってほしい」と信じるストーリーであり、つまりは「神話」なのである。本書ではこの「神話」を柔軟に選択することが、努力を多様に捉え、向き合う鍵であると説いている。
「頑張っても努力が報われない」、あるいは「自分のこれまでの努力は無意味だったんじゃないか」と壁にぶつかっている人に、本書を強く勧めたい。著者によれば、成長とは、「世界を多様に捉えるための見方を増やすこと」だという。壁にぶつかったタイミングこそ、成長のチャンスだ。
ぜひ本書という「地図」を手に、自分の努力を見つめ直してほしい。

本書の要点

・努力は、4階建ての建物のように「量」「質」「設計」「選択」の4つの階層で構成される。
・努力で得られる報酬は、「目標との距離」と「時間」を掛け合わせた4つの類型に分けられる。報酬はすぐに手に入るものだけではなく、予想外のものや時間差で得られるものもある。
・努力と報酬の因果関係は曖昧であるため、人はそれぞれの経験則からロジックをつくり出している。この経験則を「努力神話」と呼ぶ。努力神話は「努力と報酬の相関の強さ」と「不確実性の大きさ」から、9つの型に分類できる。



フライヤーでは、話題のビジネス・リベラルアーツの書籍を中心に毎日1冊、10分で読める要約を提供(年間365冊)しています。既に3,300タイトル以上の要約を公開中です。exciteニュースでは、「要約」の前の「レビュー」部分を掲載しています。

編集部おすすめ