レビュー

「カラオケないけどカンオケあります」。
そんな印象的すぎるキャッチコピーとともに、東京の下町にオープンした「終活スナックめめんともり」。

ラテン語で「死を忘れるな」を意味するこの店名のバーでは、カラオケはできない代わりに、棺桶に入る「入棺体験」ができる。ここに訪れる人たちは、お酒を飲みながら、リラックスした雰囲気で死について語り合っている。
死について語ることは、「縁起でもない」と避けられがちだ。しかし、自分がどう死にたいかを考えないまま、本当に納得した人生が送れるだろうか? 大切な人が亡くなったとき、その人の望む形で見送ることができるだろうか?
本書は、死について語り合うめめんともりの日常を多くの人に共有したいという、同店の店主であり、海洋散骨のパイオニアでもある村田ますみ氏の初のライトエッセイだ。最初から最後まで死について語っているのに、本書の語り口は不思議と明るい。まるで今日の晩ご飯に何を食べるかと聞くような気軽さで、「あなたはどんなふうに死にたい?」と問いかけてくるのだ。
そんなふうに誘われて考えていくと、死について考えることはけっして後ろ向きなことではないと実感できる。人生の終わりを意識するからこそ、「いつかやりたい」と思っていることは先延ばしにしてはいけない、会いたい人には今会わなければいけない、自分の死後のことも考えておかなければいけないと、生きているうちの行動を変えることができる。あなたも自分の死について考える時間を持ってみてはいかがだろうか。

本書の要点

・終活スナックめめんともりは、お酒を飲みながら自分の死について気軽に語ることのできるバーだ。店内には棺桶が置かれていて、来店客は入棺体験を行うこともできる。
・人は自分の死について語ることなく死んでしまうことが多い。

自分らしい最期を迎えるために、そして自分らしく生きるために、死について考え、語っておくことが重要だ。
・現在では葬儀社が取り仕切る葬儀が一般的だが、自分の意志さえ伝えておけば自宅葬は難しいことではない。自分の死にはさまざまな選択肢があることを知っておこう。



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