レビュー
「何か書きたいのに、言葉が出てこない」「書いては消すのを繰り返し、いつまで経っても書き上がらない」「事実や意見を淡々と並べてしまい、共感を得られる文章にならない」。そんな悩みに心当たりがあるなら、本書がきっと役立つはずだ。
著者のさわらぎ寛子氏は、25年の職歴をもつコピーライターであり、手がけたコピーは3万件以上に上る。企業の広告制作から企業研修、大学講師まで幅広く活躍してきた豊富な現場経験と、その経験から導き出されたノウハウが、この一冊に凝縮されている。
本書の魅力の一つは、「文章がうまく書けない」悩みを5つに分類し、原因と対処法を明快に示している点にある。たとえば「何を書けばいいかわからない」人には、「誰に・どんな気持ちになって・どんな行動をしてほしいか」の3点を定めることが効果的だそうだ。このパートを読むだけでも、文章への不安が軽減されるだろう。
さらに、「読みたくなる文章の書き方」として、文章の5つの基本、相手の心に届く構成、行動を促すための工夫などが紹介される。「何を書くか」を決める4ステップ、「自分が言いたいこと」を「相手が知りたいこと」に変換する3つのコツ、ペルソナへのヒアリングで本音を引き出す質問術など、どれもすぐに使える実践的な内容ばかりである。
SNSやブログでの発信力を高めたい人はもちろん、書く力を磨き、仕事の成果につなげたいビジネスパーソンにもおすすめの一冊だ。
本書の要点
・「何を書くか」は、次の4ステップで定めるとよい。まず、文章のテーマをざっくり決める。次に、「誰に」「どんな気持ちになって」「どんな行動をしてほしいか」を具体化する。そのうえで、自分の立ち位置を明確にし、「どこに光を当てるか」を決める。
・ペルソナに対するヒアリングでは、抽象的な悩みだけでなく、具体的な場面を尋ねるのが効果的だ。
・相手を動かす文章は、「ハッとする」「ワクワクする」「納得する」「行動する」の4要素で構成される。行動を促すには、ロジックよりも、商品やサービスが“ある未来”と“ない未来”をリアルに描くほうが、心に届きやすい。
フライヤーでは、話題のビジネス・リベラルアーツの書籍を中心に毎日1冊、10分で読める要約を提供(年間365冊)しています。既に3,300タイトル以上の要約を公開中です。exciteニュースでは、「要約」の前の「レビュー」部分を掲載しています。