レビュー
人生100年時代において、「どうすれば幸せに生きることができるか」という問いは、かつてないほど切実なものとなっている。そんな問いに答えをくれるのが、本書だ。
要約者にとって、本書の意義は大きく2点ある。1点目は、現在の経営層・管理職世代の労働観を把握できる点だ。1994年にキャリアを開始し、人事・組織コンサルタントとして活躍してきた著者・相原孝夫氏の考えは、現在指導的立場にある世代の価値観と多くを共有している。評価者の価値観を正しく理解しなければ、組織において自らの評価を高め、幸せに働くことは難しい。
2点目は、「どうすれば幸せに働けるか」という多くの人の悩みに、現実的な解決策を示している点だ。「反労働」的な風潮が広がるなか、資本主義を前提とした社会構造がすぐに変わることは考えにくい。「仕事が嫌だから働かない」という態度で幸せになることは難しいだろう。より幸せに働くという方向で考えたほうがいい。
著者は本書で、仕事を通じてウェルビーイングを実現するには、高いパフォーマンスを目指すことが最短距離であると説く。成果を出す過程で、ウェルビーイングの構成要素(ポジティブな感情、エンゲージメント、他者との良好な関係、生きる意味の探求、達成感)が満たされるからだ。
働くことに悩みや違和感を覚えるビジネスパーソンに、一読を勧めたい。自分の働き方を見直し、幸せなキャリアを築くヒントが得られるだろう。
本書の要点
・ウェルビーイングは、ポジティブな感情、エンゲージメント、良好な人間関係、生きる意味の探求、達成感という5つの要素から成る。仕事でパフォーマンスを高めることが、人生全体のウェルビーイングに直結する。
・「幸せな労働」を可能にする3つの条件は、自由裁量・強みの発揮・成果の認識(自他ともに)である。ハイパフォーマーになれば、これらは自然と満たされていく。
・ハイパフォーマーに共通するのは、失敗から学ぶ姿勢と、身近な人を支援しようとする姿勢である。
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