レビュー

生きていると、ストレスを感じる出来事は避けられない。心が乱れると、それが言動にも表れてしまうことがあるはずだ。

すると、自分にとっては一時的な感情から出た言動のつもりであっても、それが人間関係を悪化させたり、日々のパフォーマンスを下げたりすることがある。最初に心を乱したことで、自らストレスの種を撒き散らすことになりかねないというわけだ。
本書『気にしないコツ』は、ストレスがストレスを呼ぶ連鎖を断ち切るために、「気にしない」方法を解説する。著者は曹洞宗徳雄山建功寺住職であり、庭園デザイナーでもある枡野俊明住職だ。本書の言葉を借りれば、「心を整えて、今この瞬間を大切にする生き方」そのものだ。禅の教えに則って行動することが、禅の実践であり、禅の生き方である。
本書が紹介するのは、特別な修行をしなくても、日常で取り入れることができる禅の考え方だ。禅語とともに紹介される42の「気にしないコツ」は、誰でもすぐに試せそうなちょっとした工夫でありながら、効果を感じられそうなものばかりだ。実践を重んじる禅の教えらしく、すぐに行動に移せそうなのがうれしい。
禅語を通じて自分の考え方を見直すきっかけがつかめたら、日々のストレスに対しても以前とは違った対応ができるかもしれない。心を整える習慣を身につけたい人におすすめしたい実践的な一冊だ。

本書の要点

・禅とは、「心を整えて、今この瞬間を大切にする生き方」だ。

日常にこの考えを取り入れることによって、怒りや焦り、不安といった感情に振り回されず、平常心に立ち戻る術を学ぶことができる。
・煩悩から離れるうえで有効なのは、坐禅だ。家でも実践しやすい「椅子坐禅」からはじめるのがおすすめだ。
・「前後裁断(ぜんごさいだん)」は、過去と未来を断ち切り、今に集中することを意味する禅語である。未来への不安や過去の後悔にとらわれずに、目の前に意識を向け、一つひとつの時間を誠実に生きよう。



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