レビュー
本書の前作『ティッピング・ポイント』は、自殺やテレビ番組の流行といった社会現象を、伝染病の原理を応用して解明しようとした点が画期的で、世界的ベストセラーとなった。
カギとなったのは、「少数者の法則」「粘りの法則」「背景の力」の三原則である。
そして今回の新著では、25年の時を経て、「空気感」「スーパースプレッダー」「ソーシャル・エンジニアリング」という新たな三つの視点から、社会的伝染のメカニズムを掘り下げていく。注目すべきは、ソーシャル・エンジニアリング、すなわち社会への介入の難しさを問う姿勢だ。社会をデザインする際の倫理的ジレンマを描きながら、混沌とした現代社会への希望も託されている。まさに現代にこそ読まれるべき意欲作である。読後には「社会の空気をどう設計するか」を考えずにはいられないだろう。
本書の要点
・社会現象は、空気感や集団構成の条件が整うと「ティッピング・ポイント」に達して一気に広がる。
・社会的伝染の新たな原則は、「空気感」「スーパースプレッダー」「ソーシャル・エンジニアリング」の三つである。
・ティッピング・ポイントは意図的に操作されるケースもあるが、よりよい世界をつくるために活用できる。
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