レビュー
「日々をすっきり整理して、人生を思いのままにする」。こうした理想を追い求めても、現実との落差にがっかりしたことはないだろうか。
そんななか、私たちの多くが、生き方の正解にたどり着かなくてはという焦りを抱いているように思える。こうした状況に新たな視点を提示するのが本書だ。それは、自らの限界を受け入れ、そこへ飛び込んでいく「不完全主義」という生き方である。それによって、自由や落ち着き、人とのつながりが手に入り、生きている実感が湧いてくるという。
著者は、前著『限りある時間の使い方』が40万部超のベストセラーになった気鋭のジャーナリストである。「人生は4000週間しかない」という真実を読者に投げかけ、「時間を完璧にコントロールできる」という幻想を手放すよう呼びかけた。その続編といえる本書では、「もっと効率的に、完璧に」と追い詰められがちな私たちに、「不完全さを受け入れること」の大切さを諭してくれる。4週間で「心のリトリート(静養)」を体験できる構成の背景には、「本の内容が体に深く染みこみ持続するように」という著者の願いがある。
不完全さを受け入れることは、「今を生きる」ことに他ならない。読後には、自らの有限性を受け入れた先に訪れる変化を、静かに実感できるだろう。限りある人間にとって、人生を変えられるタイミングは「今」だけだ。
本書の要点
・「不完全主義」の生き方によって、自由や落ち着きを得られ、限りある時間と注意力を本当に大事な目的に注げるようになる。
・意思決定は限界を受け入れて生きるための本質的な行為だ。人生を豊かにするには、決定の機会を自ら探しに行くとよい。
・何かを最後までやりとげる習慣があれば、次の活動に取りかかる気力が湧いてくる。時間を小さな完了の連続と捉えると、人生がふっと楽になる。
・悩んだときは、自分のライフタスクを問い直すことが大切になる。
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