レビュー
たとえ話すことに苦手意識がない人でも、初対面の相手との雑談や、沈黙が続く1対1の面談、相手が延々と話し続ける場面など、会話の中には難しい局面が無数にあるものだ。そうした場面でも、無理なく相手の口を開かせるためのヒントを与えてくれるのが、本書である。
著者の斉藤真紀子氏は、丸紅米国会社、日本経済新聞米州総局の金融記者、『AERA』の専属記者を経て、現在はフリーのジャーナリストとして活躍する人物だ。十数カ国での取材経験があり、これまでインタビューしてきた人数は2000名超にも及ぶという。
そんな斉藤氏が本書で伝えるのは、どんな相手の心も開かせる「聞き方」と「話し方」だ。著者はプロとして、沈黙や間、相手のテンションといった非言語情報を察知し、それに合ったギア(=態度、声の出し方、相づち、話題の切り替え方など)を選ぶことによって、相手から「ここだけの話」を引き出してきた。本書の最大の魅力は、その高度な技術が丁寧に言語化され、ノウハウとして体系化されている点にある。その中で、レディー・ガガやキアヌ・リーヴス、渡辺謙氏、大前研一氏など、国内外の著名人を取材したエピソードがさりげなく紹介されており、読者を驚かせる。
プロのインタビュアーはもちろん、初対面の人とのコミュニケーションに苦手意識のある人や、部下との距離をうまく縮められず悩んでいる人にも、本書をおすすめしたい。聞く・話すという行為を通して、相手の心を開かせる力が身につくだろう。
本書の要点
・自分の「好き」を伝えたり、相手の「好き」に興味を持ったりすることは、関係を深める絶好のきっかけになる。
・雑談で仲良くなるには、相手が思わず質問したくなる「おにぎり」のような話題を手渡すのが有効だ。さりげなく話題を提示し、話した後はひと呼吸おいて相手の反応を待つことで、自然な会話のキャッチボールが生まれる。
・手強い相手から本音を引き出すには、「観察」と「空気づくり」が鍵となる。
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