レビュー

節約というと、我慢や苦労といったイメージを抱く人も多いだろう。しかし本書を読めば、そのイメージが一変する。

著者・松本明子氏の「ケチ活」は、楽しく、ひたむきで、どこか愛らしく、そして驚くほど実用的なのだ。紅茶のティーパックの「第2の人生」を真剣に模索し、街歩きの際には「ケチ活」のヒントがないかと目を光らせ、家じゅうの電気の消し忘れを夜な夜なパトロールする――そんなエピソードの数々に、「そこまでやるか!」と笑いながらも、読者はきっと真似してみたくなるだろう。
松本明子氏は、1983年に芸能界デビューし、元祖バラドルとして一世を風靡した。「DAISUKI!」「電波少年」などでお茶の間に親しまれた一方、プライベートでは徹底した節約生活を実践してきた。
興味深いのは、賢い買い物術や身近なものの再活用法にとどまらず、人間関係や人生観にまで「ケチ道」の哲学が及んでいる点である。特に印象的だったのは、交際費には惜しまずお金を使うこと。著者は「ケチるところ」と「かけるところ」を見極めることで、心豊かな「ケチ活」を実現しているのだ。さらに、ケチ活に励むうちに得たアイデアをもとに事業を始めたというから驚きである。
本書からは、著者が「ケチ活」を心から楽しんでいる様子が伝わってきて、「ちょっとしたアイデアと行動力が生活と人生を変えてくれるのだ」とわくわくさせられる。節約を始めたい人はもちろん、日々の暮らしに楽しさや創意工夫を取り入れたい人に一読を勧める。

本書の要点

・街を歩くときは、周囲に目を配ろう。「ケチ活」に役立つヒントが思わぬ場所に潜んでいる。


・自分にできることであっても、ストレスを抱えてまでやる必要はない。時にはお金を払ってプロに頼るのも立派な「ケチ活」だ。
・家族と一緒に「ケチ活」をしたいなら、無理に巻き込まず、まずは自分ひとりで始めよう。楽しむ姿を見て、自然とついてきてくれるはずだ。



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