レビュー
これまでの採用といえば、学歴や肩書、資格など、表面的な指標から入り、次に本人の資質や志向を探って、合否を判断するというものが主流だった。いわばスペック重視採用である。
「これからは、それではいけない」。そう主張するのは、本書の著者・秋山真氏だ。自社の価値観や働き方、チームの雰囲気といった、より現場目線の情報を企業が積極的に開示し、そうした“スタイル”に合う人を採用する流れが不可避になるという。いわば「企業と働く人の“価値観”のマッチング」であり、著者はそれを「スタイルマッチ」と名付けている。
そのスタイルマッチ採用の実現を支援しているのが、著者が代表を務めるNo Companyという会社だ。著者はこれまで100社以上の採用支援と、1000名を超える採用担当者とコミュニケーションを重ねてきた。本書で綴られていることは机上の空論ではなく、豊富な経験に基づいたものである。
著者が「スタイルマッチ」を考えるようになったのには、学生時代に熱中していたストリートダンスも関係している。ストリートダンスの世界では、ダンスのスキル以上にその人らしい表現、いわば「自分のスタイル」が尊重されるのだという。著者は「それと同じ感覚を社会で実現できたなら、もっといきいき働ける人が増えるのではないか」と考えた。
人材不足で売り手市場が続く採用市場は、激しさを極めている。そのさなかで「いい採用」をすべく日々頭を悩ませている人事担当者にとって、本書は貴重な一冊となるはずだ。
本書の要点
・これからの採用には「スタイルマッチ」が求められる。求職者を「学歴・スキル・印象」といったスペックではなく、自社の働き方のスタイル(=価値観)と合っているかを見ることが重要だ。
・自社のスタイルは、Business(事業のスタイル)、Culture(関係性のスタイル)、Job(仕事のスタイル)、Action(行動のスタイル)の4つの視点で整理できる。
・いい採用を実現するステップは、まず、自社の現在地を正しく把握すること。その分析をもとに自社のスタイルを言語化すること。そして、それを誰に・何を・どこで・どのように伝えるかを決めることである。
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