レビュー
「1on1がうまくいかない」――そんな悩みを抱えたマネジャーは少なくないはずだ。部下が話してくれない、会話が広がらない、成果が見えない。
著者のスティーヴン・G・ロゲルバーグ氏は、組織心理学の世界的権威であり、ノースカロライナ大学シャーロット校の特別栄誉教授だ。「ミーティングの科学的研究」の第一人者として国際的に評価されており、前著『スーパー・ミーティング』はワシントン・ポスト紙で「注目すべきリーダーシップ本第1位」に選ばれた。
本書は、ロゲルバーグ氏の長年の研究と実践から導き出された「最も効果的な1on1の進め方」を、科学的かつ具体的に解説した一冊である。1on1の定義から、効果的な質問例、話の引き出し方、終了時の確認まで、1on1を支える具体的なメソッドがぎっしりと詰まっている。
とりわけ印象的なのは、1on1の質を左右するのは「マネジャーの話す量ではなく、部下の話す量」であるという指摘だ。部下が話す割合が全体の50~90%であることが理想だとするデータに基づき、対話の進め方が丁寧に語られる。
部下との関係に悩むマネジャー、1on1を単なる義務で終わらせたくない人、形式的な会話から脱して本気で部下と向き合いたい人にとって、本書は確かな道しるべとなるはずだ。これを読めば、1on1の場が単なる管理の手段から、信頼と変化を生む場へと生まれ変わるだろう。
本書の要点
・1on1では、「人間関係の構築」「エンゲージメント」「状況把握」「課題」「フィードバック」「能力開発・成長・キャリア」のうち、複数の領域から問いを選んで部下に投げかけることで、多角的かつ深みのある対話を構築することが望ましい。
・優れた1on1とは、部下の実務的なニーズと個人的なニーズの双方に応えるものである。部下の個人的なニーズを満たすためには、5つの行動が効果的だ。
・1on1の進行には「準備」「開始」「本題」「終了」という4つの段階がある。
フライヤーでは、話題のビジネス・リベラルアーツの書籍を中心に毎日1冊、10分で読める要約を提供(年間365冊)しています。既に3,300タイトル以上の要約を公開中です。exciteニュースでは、「要約」の前の「レビュー」部分を掲載しています。