レビュー
仕事の合間に、同僚と何気ない雑談をしているうちに、なぜか頭がすっきりとクリアになった。そんな経験はないだろうか。
本書は、67万部を超えるベストセラーとなった『1分で話せ』の著者である伊藤羊一氏の最新作だ。「壁打ち」のやり方は極めてシンプルで、とにかく頭の中にあることを口に出すことから始まる。自分の頭の中にあるモヤモヤとした考えを、ありのまま、そのままに相手に投げかけると、答えや問いかけが返ってくる。それを受けてまた自分の考えを口に出す。その繰り返しによって、徐々に頭の中が言語化され、整理されていくのだという。
自分が考えていることを、自分の頭の中だけで整理するのは難しい。ノートなどに書き出すことでも言語化はできるが、他の人と会話しながら行うことで「第三者の視点」が入り、思いもよらない発見があったり、より自分の考えを客観視したりする効果が期待できると伊藤氏は語る。
決められたことを決められたとおりにこなしていればいい時代は終わった。これからは誰もがクリエイティブに仕事をしなければならない時代になりつつある。そんな状況で、「自分の頭で思考する」ことは、すべてのビジネスパーソンにとって必須のスキルとなるというのが伊藤氏の考えだ。
本書を読んで今すぐ「壁打ち」を試し、その効果を実感してほしい。
本書の要点
・「壁打ち」とは、頭の中にある構造化されていない情報(=モヤモヤ)を、口に出すことで言語化し、他者と交換できる形にする思考法である。「壁打ち」によって、思考を広げ、深め、固めることができる。
・決められた型通りのものをつくる力で評価された時代が終わった。自分の頭で考え、自分で生み出したアイデアを形にする力は、現代のビジネスパーソンに必須のスキルとなった。「壁打ち」はこのような思考力の実現に不可欠である。
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