レビュー
いつも笑顔のやさしいお母さんでいたい――。
それができれば理想だが、ご多聞にもれず子育ては大変だ。
本書は子育てに悩む親、とくにお母さんに向けて書かれた一冊だ。著者の精神科医さわさんは、児童精神科・心療内科のクリニックを営むかたわら、2人の娘さんを育てている現役ママ。上の娘さんには発達特性があり、現在は不登校だという。そんな著者が、自身の子育てやクリニックに訪れる患者さんから感じ、学んだことを、やさしく語りかけるような筆致でつづっている。
子どもは未熟であるためつい手や口を出してしまいたくなるが、「子どものため」の言動が、彼らの心を傷つけてしまっていることも少なくない。その結果、心を閉ざしたり、問題行動を起こしてしまったりする子もいる。
こんなにがんばっているのに、なぜうまくいかないのか――。泣きたい気持ちになることもあるだろう。でもそれは、親の思いと、子どもが望んでいることが食い違っているからかもしれない。本書では「子どもが本当に思っていること」を紹介しながら、両者のすれ違う心を解きほぐしていってくれる。
もしいま「子育てがうまくいかない」と悩んでいるなら、迷わず本書を手にとってほしい。心が少し軽くなり、新しい気持ちで子どもと向き合っていけるだろう。
本書の要点
・子どもの不安をあおるような言葉でコントロールしようとすることは、一時的には効果があるが、長期的には悪影響をもたらしてしまう。
・お母さんが笑顔でいると、子どもは「自分はここにいてもいいんだ」と安心することができる。
・受験に落ちても親が失敗だと思わなければ、子どもは希望を持つことができる。子どもが自信を失うような声かけは、決してすべきではない。
・子どもがただそこにいてくれるだけで幸せだということ。それを言葉にして伝えよう。
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