レビュー

会社とは何か。いかにして生まれ、変貌していき、今後どのような運命をたどるのか――。

この大きな問いを読者に投げかけ、じっくり考えさせてくれるのが本書である。
著者の名和高司氏は、三菱商事を経てマッキンゼーで約20年にわたりディレクターとして活躍し、一橋ビジネススクールや京都先端科学大学で次世代リーダーを育ててきた経営学者である。ファーストリテイリングや味の素などの社外取締役も歴任し、理論と実践を横断しながら、『パーパス経営』『超進化経営』など数多くの著書を通して経営のあり方を提案してきた。
本書は、名和氏をモデルにした「タカシ先生」と3人のゼミ生を登場人物とする物語形式で、「カイシャはなぜ生まれたのか」「カイシャはなぜ変貌したのか」「カイシャはなぜ消滅したのか」という3つの問いについて探究していく。登場人物たちのディスカッションを通じて、読者は「カイシャ」という制度の誕生、進化、そして消滅のプロセスについて思考を深める。
金剛組や竹中工務店、渋沢栄一などの実例を交えつつ、企業の本質を「遺跡」として掘り起こす構成が興味深く、他にない一冊となっている。読み進めるうちに、会社を単なる「経済活動のための仕組み」や「働く場所」としてではなく、読者一人ひとりが異なる新たな形で捉えられるようになるだろう。知的刺激に満ちた読書体験を求める人に勧めたい。

本書の要点

・現存する世界最古のカイシャは、1400年以上続く「金剛組」である。私たちは金剛組から、同族会社の強さと上場企業のもろさ、そして未来志向の大切さを学べる。
・私たちは「資本主義を体現する装置として、カイシャという形態が未来永劫ベストなのか」という問いから逃げてはならない。現在の形態に縛られず、組織の進化そのものを広い視野と未来志向で捉え直す必要がある。


・TJC(伝統的日本企業)を再生するには、日本が得意としてきた「異結合」(異質なもの同士を化学反応させ、新しい価値を生み出すための創造的な技)の力が欠かせない。



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