開幕まであと1週間に迫ったEURO2024で、番狂わせを狙うチームがある。
6月14日の開幕戦で開催国ドイツに挑むスコットランドは、4度目の出場にして初のグループステージ突破を目指す。
主力が不在、大会前にもケガ人続出
2022年のFIFAワールドカップ出場を逃したスコットランドにとって3年ぶりの大舞台となるが、今のところ準備はうまくいっていない。むしろ、考えうる最悪の状況とも言える。右SB/WBの主力であるアーロン・ヒッキー(ブレントフォード)とネイサン・パターソン(エバートン)がともにシーズン中のケガで不在。ボローニャのMFルイス・ファーガソンやルートンのFWジェイコブ・ブラウンも戦列を離れている。
そして、事前合宿に入っても不運が続き、5月31日にはFWリンドン・ダイクス(28歳)が練習中のアクシデントで負傷して担架で運ばれる事態に。イングランド2部のQPRに所属するストライカーは、3年前のEUROで全試合に先発出場したほか、今大会の予選でも全8試合で起用されており、攻撃の主軸の1人と見られていたが、本大会を欠場する。
そこで注目されるようになったのが18歳のFWベン・ドークだ。セルティックの下部組織出身で現在リバプールに所属するウィンガーは、今季のプレミアリーグ開幕戦で途中起用されるなどリバプールのユルゲン・クロップ前監督も期待を寄せていた。昨年12月に半月板を損傷して以降は離脱していたが、EUROに向けた代表候補メンバー28名に選ばれており、スコットランド国内ではワンダーキッドの待望の代表デビューに注目が集まっていた。
スティーブ・クラーク代表監督も「ベン(ドーク)は4カ月半も離脱していたので、あまり彼にプレッシャーをかけるべきではない。彼は経験を積むためにメンバーに選ばれているんだ」と、高まる国民の期待を必死で抑えようとしていた。
前線は負傷者続出も、中盤の陣容は充実
ドタバタ続きのスコットランドは、6月3日に行われたジブラルタルとの親善試合に2-0で勝ったとはいえ、格下を相手に低調な内容だった。クラーク監督も精彩を欠いたことを認めつつ、その理由について「最大の大会が目の前に迫っており、既に気持ちがドイツに行っていたのだろう」と説明した。そしてFWダイクスの離脱が及ぼした影響についても明かした。「練習中のリンドン(ダイクス)のケガで選手たちは少し動揺していたのだと思う。選手たちも人間だからね」
立て続けに2名のアタッカーを失ったスコットランドは、代表経験のない21歳のFWトミー・コンウェイを追加招集。イングランド2部のブリストル・シティに所属するストライカーは、ダイクスの代わりではなくバックアップメンバーになる。本大会で攻撃を牽引するのは、スコティッシュ・プレミアシップでセルティックの日本代表FW古橋亨梧を抑えて得点王に輝いたハーツのFWローレンス・シャンクランド(28歳)と、サウサンプトンのFWシェイ・アダムズ(27歳)だ。
アダムズは今季イングランド2部で15ゴールを叩き出してサウサンプトンのプレミア昇格に貢献したCF。「このメンバーならグループ突破は可能だ。国民の誇りになりたい」と意気込むアダムズは前回のEUROも経験しており、彼が1トップとして起用されるだろう。
確かに前線はケガ人が出てしまった。
Photo: Getty Images