2023年に急逝した八代亜紀さん(享年73)の追悼企画としてリリースされるベストアルバムに、八代さんの若かりし頃に撮影されたヌード写真が特典として封入されることが大きな波紋を呼んでいる。


 ことの経緯をまとめるとこうだ。


 問題のアルバムは、4月21日発売予定の「八代亜紀 お宝シリーズ 第一弾 忘れないでね」。「舟唄」「夢芝居」「石狩挽歌」「くちなしの花」「氷雨」など八代さんのヒット曲に加え、カバー曲を収録。発売元のニューセンチュリーレコードは、お宝特典として、《24~25歳の時に同棲していたT社のNディレクターによってポラロイドカメラで撮影されたフルヌード写真2枚が掲載》と3月に自社サイトで告知していた。


 しかしこれに対して、SNSを中心に疑問を呈する声が巻き起こる。同社の社長は、女性セブンの取材に対し、こう主張していた。


「2000年頃にウチが八代さんやほかの歌手の原盤権や、会社にあった財物一式を買い取りました。そういう経緯がありますから、当時の音源を使ってアルバムを出すことにも写真を公開することにも何の問題もありません」


「(八代さんの死後)豪邸売却と同時期に彼女の個人事務所が解散し、別会社が立ち上がったことを知って、いったい何が起こっているのか? と。自分なりに調べて、八代さんの財産を食いつぶそうとしている人がいるんじゃないかと思った次第です。ぼくは筋が通らないことが嫌いなんです。“暴露”と思われても構いませんし、誰にも文句を言われる筋合いはありません」


 八代さんは1994年、43歳の時に元マネジャーの男性と結婚、2021年に離婚しているが、元夫と出会う前に不倫の関係にあったのが、既婚者だったN氏だったという。


 ニューセンチュリー社はさらに10日、インスタグラムでこう主張した。


「業務妨害・その他において司法当局に相談している最中です。

こんな悪質な者達によって商品の発売中止などは行いません。告知通りに商品を発売して行きます」


 その一方、生前、八代さんが所属していた所属事務所「ミリオン企画」の代表取締役社長・大野誠氏はこれに猛反発。4月14日、「報道にあるニューセンチュリーレコード社発表の問題作品について」と題した声明を公式サイトで発表した。親族とも相談の上、3月27日に代理人弁護士を通じて、ニューセンチュリーレコード社宛てに照会書及び通知書を送付したが、回答が来てないとして、《死者の名誉棄損罪のほか、『フルヌード写真』に関するわいせつ物頒布等罪、解散法人において営業活動を行い収益を上げることの税法上の問題点等》について、《刑事・民事を問わず、あらゆる手続きの準備を進めている》と主張した。


 真っ向から対立する両者の主張。


 一方、4月21日の発売日を前に、オンライン署名サイト「Change.org」では、「八代亜紀さんの尊厳を保護し、リベンジポルノを阻止する」と題した署名が立ち上がり、大手ECショップでは予約・販売を保留や停止する動きもある。


 この問題、故人の尊厳や肖像権、出版権、遺産相続など、問題などさまざまな論点をはらむと言えそうだが、平行線をたどる両者の主張を前に、芸能ジャーナリストの城下尊之氏はこう話す。


「双方に言い分があり、意見の食い違いはあるでしょう。しかし広い視点で見れば、芸能人にとっては、死亡して忘れ去られていくことが一番辛いことですから、どんな形であれ、こうして話題に上がることは決してマイナスではない。それで楽曲がまた聴かれる機会も生まれるわけです。しかしながら、現状、本人の意思は確認しようもないので、権利をどこが持っているかを明確にしていくしかないと思いますね」


 演歌界の女王として長年にわたり多くのファンに愛された八代さん。天国でこの騒動をどう感じているだろうか。


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