ある時は「板金工」として仕事を請け負い、またある時は「暴力団組幹部」「右翼団体代表」として他人を脅し、そしてある時は地域住民を相手に「頼母子講」を開催し、現金をかき集めていた。
複数人から掛け金を集め、配当金を支払う「頼母子講」を催し、無許可で銀行業を営んだとして、指定暴力団稲川会4代目森田一家幹部の本健一容疑者(59)が今月6日、銀行法違反の疑いで静岡県警御殿場署に逮捕された。
本容疑者は2023年10月~24年9月、御殿場市の飲食店などで毎月、定期的に頼母子講(無尽会)を開き、市内に住む会社経営者など12人から1人当たり毎月3万円、計36万円を預かり、一定の金額を給付していた。
「頼母子講には互助という側面があり、本来、助け合うものだが、それを暴力団の幹部組員がうまみもなくやるとは考えにくい。ましてや参加メンバーはヤクザもんではなく、カタギです。本の知人のつながりで参加者を募り、中には互いに面識のない者もいた。本の素性をあまりよく知らなかったり、知っててもむげに断れなかった人もいたようです。参加者が経営する飲み屋を無尽会の会場にすることもあった。ただ暴力団の資金源にしては、あまりにも金額が少なく、組織的な金集めではなかった」(捜査事情通)
■地元では有名な右翼団体代表
カネの取り立てやノミ行為は、本容疑者がもともと得意とするところだった。
「30年ほど前、自身が胴元となり、ノミ行為でパクられ、森田一家の直参となった02年には、借金の返済の滞った男性を中傷するビラを配布して逮捕されている。3年前には、建設会社の工事に因縁をつけ、右翼団体『國憂塾』の街宣車で会社に乗りつけて軍歌を大音量で流して威嚇。『毎日来るぞ、この野郎』と怒鳴り続け、脅迫した。本は政治結社・國憂塾の代表を務め、森田一家総長付という役職だった」(捜査事情通)
数々の「武勇伝」を残す稲川会系の幹部で右翼団体の代表の親分が、どうしてそんな「はした金」が必要だったのか。
「今の時代、渡世稼業だけでは食っていけないのでしょう。
四刀流でも稼ぎが足りなかったようだ。